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PC-98x1対応FDD化改造(D353M3D辺り向け)

最終更新日:2020/09/12 (4版)
2版:手順7のNOT入力をFDD2ピンへ→FDD1ピンへ
3版:手順0、33ピン目は、READYじゃなくてDISK CHANGE
4版:READYのダイオードを必須にした。そして回路の画像化。

ここに書いてある内容は、自己責任のもとでやってくださいね。
機器や環境が壊れたりしても、こちらは責任は負えません。

これは、コントローラICに「NCL039」を使っている、
PC/AT互換機用のミツミ製FDD向けの改造手順です。
おそらく、この辺りの型番のドライブで有効です。
・D353M3
・D353M3D
・D359M3D

この改造を施すと、PC-98x1シリーズ専用の3モードFDDとなります。
2DDの640KB,720KB、2HDの1.2MB,1.44MBのモードに対応し、
フォーマット・読み書き・起動が可能です。

なお、ドライブ番号0専用となり、2台目ドライブとしては、
そのままでは使用できません。
その代わりに、おまけとして、ドライブ番号0同士で2FDD仕様にできる
FDDケーブルの改造手順も記してあります。


■材料
・改造対象のFDD
・ロジックIC 74xx00または74xx02
・ジャンパのための線


■参考資料(こういう資料マジ重要ですわ、ありがとうございます!):
試運転の資料館様の「PC-9821 に PC/AT 互換機用 FDD を接続する ( 実施編 ) 」
  http://shiuntenlos.ie-yasu.com/98ma0050.htm
  改造手順は、ここに記載の内容を参考に、独自検証のうえアレンジしたものです。

にがHP on PS2Linux DASH様の「MSX用FDDのREADY信号についての考察と検証」
  http://niga2.sytes.net/msx/FDD_READY.html
  FDDのREADY信号について、理解を深められます。

試運転の資料館様の「国産電算機のピンアサイン」
  http://shiuntenlos.ie-yasu.com/eema0020.htm
  PC-98x1用FDDのピンアサインがあります。

エマティなリサイクル様の「AT/互換機のFDインターフェース」
  http://ematei.s602.xrea.com/kenkyu/fdi.htm
  PC/AT互換機用FDDのピンアサインがあります。


■注意:
基板にプリントされている、ピン番号を表す「2」「34」に騙されないでください。
PC98基準だと、FDDコネクタのピン番号は上下逆に番号がつくため、
「2」と書かれてる側が1番ピンだったりします。
紛らわしく、作業ミスも起こるので、油性ペンとかで塗りつぶして、
正しい番号を書いておくと、ミスも減って分かりやすくなります。



改造手順
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■手順0:33ピン目を生やす
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◆手順前の確認
・FDDコネクタ33ピン目の出ているドライブの場合
 →いいね!この手順0は飛ばせます。

・FDDコネクタ33ピン目の出ていないドライブの場合
 →がんばりましょう。33ピン目を生やす改造が必要です。
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◆手順
1:はんだ吸い取り機などでコネクタ(電源含む)周りのはんだをとり、
  コネクタを抜きます。
  このとき、上部のカバーや金属の爪が阻むと思いますが、
  爪は寝かせる等、適切に対応してください。
2:ピンを生やします。
  適当なピンコネクタからピンをもぎ取り、それを付けましょう。
  (外したコネクタの12ピン目をもぎ取って使うと一石二鳥だったりします)
  多分34ピン目が邪魔になりますが、34ピン目をいったん途中まで抜いておくと
  作業がしやすいです。
3:コネクタを再びはんだ付けします。
  寝かせた爪や、電源ピンのはんだ付けも忘れずに。
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解説:
33ピン目は、DISK CHANGE信号のために必須です。
このピンがないと、ドライブが動きません。




■手順1:2HD/2DD検出スイッチの除去
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◆手順
1:2HD/2DD検出スイッチを除去する。
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解説:
PC/AT互換機では、2HD/2DD検出はドライブ側の仕事で、FDの穴で検出します。
一方、PC98ではマシン側の仕事です。このスイッチは使いません。
ただし、このスイッチの信号は使います。手順3で配線します。




■手順2:33ピン・34ピン周りの下準備
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◆手順
1:FDDコネクタ33ピン目がGND等に繋がっている場合、パターンカット。
  33ピン目を孤立。
2:FDDコネクタ34ピン目をパターンカットする。
  34ピン目を孤立。
3:FDDコネクタ34ピン目へと繋がっていたコントローラIC側のパターンを、
  FDDコネクタ33ピン目へとつなげる。
  34ピン目の役割を、33ピン目にやらせる。
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解説:
PC/AT互換機の場合、33ピン目はGND、34ピン目がDiskChangeで、
PC98の場合、33ピン目がDiskChange、34ピン目はREADYです。

とりあえず、DiskChange信号を入れ替えます。

SPM013基板の場合、34ピンの配線が33ピンの空きランドのすぐ近くを通っているので、
その付近のパターンの銅線を露出させ、空きランドとつけてしまえば簡単です。

この地点で34ピン目には何もつながってませんが、後の手順7でどうにかします。
READY信号、作るのめんどくさいんです…。




■手順3:1ピン・2ピン周りの下準備
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◆手順
1:FDDコネクタ1ピン目がGND等へとつながっている場合、パターンカット。
  1ピン目を孤立。
2:FDDコネクタ2ピン目から配線されているDEN1〜DEN4辺りの抵抗を除去。
  2ピン目を孤立。
3:FDDコネクタ2ピン目から、2HD/2DD検出スイッチの信号線へ繋ぐ。
  GNDでも空きでもないところへ。
  2HD/2DDの切り替えを、スイッチの代わりにマシン側にやらせる。
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解説:
PC/AT互換機の場合、1ピン目はGND、2ピン目は360/300回転セレクトで、
PC98の場合、1ピン目は360/300回転セレクト(Drive0用)、
2ピン目は2HD/2DDセレクトです。
PC98の3ピン目は、Drive1用360/300回転セレクトが通ってますが、
ここではDrive0専用の改造なので無視します。ピンも穴も無いし。

また、360/300回転セレクトも配線入れ替えで行ける気がするのですが、
信号反転させたり、コントローラ経由では動かないなど、めんどくさい仕様です。
ここではやらず、後の手順7でどうにかします。

ただし、2ピン目の2HD/2DDセレクトは、検出スイッチの方へそのまま流せます。




■手順4:10ピン・12ピン周り
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◆手順
1:FDDコネクタの10ピン目と12ピン目をショートさせる。
2:FDDコネクタの12ピン目を折る。
  (折るピンはよーーーーーーく確認すること)
  10ピン目と12ピン目の役割を入れ替える。
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解説:
PC/AT互換機では、10ピン目はDrive1用のMotorON、12ピン目がDrive0Selectです。
PC98では、10ピン目がDrive0Select、12ピン目がDrive1Selectです。
というわけで、10ピン目からのDrive0Selectがコントローラへと入るようにします。
なお、PC/AT互換機FDD内では、10ピン目は使われません。

ここではDrive0専用の改造なので、12ピン目に入るDrive1Selectは余計です。
信号が入ると誤動作するので、ピンを折って無効にしてしまいます。

なお、自分は間違って16ピン目を折る過ちを犯し、修正に結構手間取りました。




■手順5:NCL039の36ピン目の処理
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◆手順
1:NCL039の36ピン目の足を上げるかパターンカットし、パターンから隔離。
  最悪折ってもいい。
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解説:
ここに、モーターICへの300/360回転セレクトが通っている。
300/360回転セレクト信号は、コントローラ経由だとうまく動作しないため、
FDDコネクタからモーターICへと直接つなげるようにする。




■手順6:OR回路・NOT回路の準備
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◆手順
1:ロジックICを、以下のように配線する
ロジックIC配線図

2:ロジックICの、FDD内での配置場所を決め、ボンド等で接着する。

7400(4回路NAND)の場合、
1,2ピン目がOR入力1、12,13ピン目がOR入力2、6ピン目がOR出力、
9,10ピン目がNOT入力、8ピン目がNOT出力になります。

7402(4回路NOR)の場合、
11ピン目がOR入力1、12ピン目がOR入力2、1ピン目がOR出力、
8,9ピン目がNOT入力、10ピン目がNOT出力になります。

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解説:
これを作りたい
READY信号の生成のためにOR回路が、
360/300回転セレクト信号の反転のためにNOT回路が必要です。
2つの異なる回路ですが、7400(4回路NAND),7402(4回路NOR)ならワンチップで
OR・NOT回路を作れます。
足を曲げてはんだ付けするだけで、OR・NOT回路が構成できるので、
その部分を先にやってしまいます。
そのあと、ロジックICの配置を決めてから、各信号へ線を伸ばした方が効率的です。




■手順7:ロジックICへの配線
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◆手順
ロジックIC配線図
この配線済みロジックICから…
1:VCCを、電源5Vの通っている適当なところへ配線
2:OR回路の入力1を、FDDコネクタ10ピン目へ配線
3:OR回路の入力2を、NCL039の35ピン目のパターンへ配線
4:OR回路の出力を、ダイオードを挟んでFDDコネクタ34ピン目へ配線
  (FDDコネクタ側がアノード、ロジックIC側がカソード)
5:NOT回路の入力を、FDDコネクタ1ピン目へ配線
6:NOT回路の出力を、NCL039の36ピン目の通っていたパターンへ配線
7:GNDを、電源GNDの通っている適当なところへ配線
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解説:
ロジックICが必要になるところを、一気にはんだ付けします。
この手順を終えた地点で、FDDはPC98用として機能するようになります。

FDDコネクタ10ピン目はDrive0Select、
NCL039の35ピン目は、いわゆるREADYもどき信号、
FDDコネクタ34ピン目はReady、
FDDコネクタ2ピン目は2HD/2DDセレクト、
NCL039の36ピン目の通っていたパターンには、300/360回転セレクト入力
があります。

「ロジックIC←FDDコネクタ34ピン」間のダイオードは必要です。
2台構成にした際に、READYが下りない問題が出るためです。
1台だけなら、省略しても動くけどね。

「READYもどき信号」は、ディスクが挿入されていたらドライブ選択にかかわらず
MOTOR ON信号でモーターが回る際にLOWになる信号です。
READY信号として使うには、さらにドライブ選択時だけにLOWにならなければならず、
このままでは2ドライブ時に別ドライブ側が騙されて、誤作動を起こします。




■手順8:FDDコネクタカバー改造
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◆手順
1:FDDコネクタの下側に切り欠けがあるが、上部の同じ位置にも切り欠けを作る
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解説:
PC98のFDDコネクタは、上側にでっぱりが来るように差します。
間違えると大変なことになるうえ、正しい方向で差さらないことがあるため、
これをどうにかします。




■手順9:動作確認
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◆チェック項目
□1.2Mフォーマット(2HD 1MB)の、フォーマット・システム転送・起動
□640Kフォーマット(2DD 640KB 8セクタ)の、フォーマット・システム転送・起動
□720Kフォーマット(2DD 640KB 9セクタ)の、フォーマット・システム転送・起動
□1.44Mフォーマット(2HD 1.44MB)の、フォーマット・システム転送・起動
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解説:
3モード対応の本体で、これが全部できない場合、
配線・ピンが間違っているか、どっかではんだブリッジが発生しています。

トラブルシューティング:
・2HDのフォーマットは正常だが、2DDのフォーマットができない
 →FDDコネクタの1ピン目と2ピン目を確認すべし。
  自分は1ピン目と2ピン目を逆に配線する過ちを犯しました。

・2DDのフォーマットはできるが、その後のシステム転送・読み込みができない
 →モーターがすぐに止まると思うのですが、
  多分、NCL039の35ピン目と36ピン目がはんだブリッジしてます。




■手順10:仕上げ
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◆手順
1:配線したジャンパ線を、ボンド等で固定する。
2:ロジックICの足が、このあとかぶせるフレーム等でショートしないことを確認。
3:FDD組み立て








おまけ:ドライブ番号0同士用FDDケーブルの作り方
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ストレートな状態から、
・1ピン〜3ピン目
・10ピン目〜12ピン目
以上の2か所を反対にねじって圧着すると作れます。
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解説:
1ピン目は、ドライブ0用の300/360回転切り替え
2ピン目は、2HD/2DD切り替え
3ピン目は、ドライブ1用の300/360回転切り替え
10ピン目は、ドライブ0セレクト
11ピン目は、GND
12ピン目は、ドライブ1セレクト
となっており、ねじることでDrive0用とDrive1用の信号が入れ替わります。

ドライブセレクト可能な純正ドライブでも、この改造ケーブルは使用可能なうえ、
純正本体の付属FDDなのに3ピン目が無い謎ドライブがRa20についてたりするので、
あると便利なケーブルとなるはずです。
PC/AT互換機用の2ドライブFDDケーブルをPC98用に改造する際にどうぞ。




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